雨の空に似ていた心 寂しさが残る指 濡れた袖に「もう一度だけ」 当てのない願い事 あなたの横顔だけ見つめていた 瞼の裏には花火の跡 微睡みの夜を越え 思い出が零れていく 掬い取ったはずだったのに 君の声 いつか忘れるだろう 一抹の日々に縋る僕は 茜色に今立ち尽くすだけ 雲まで染めゆく雨に抗えたら 晴れの空に傘を閉じても 寂しさは拭えない 濡れた頬に「もう一度だけ」 嘘のないキスが欲しい あなたの一部になれるのならば 骸の裏側 溶けた言葉 気化熱で少し冷えた 身体が包まれていく 泡沫の永い夜に 蝉時雨 響き続けるだろう 静かに散りゆく残り火にも 離れ離れ 君を連れ去るように どこかで揺らいで 夕立雨が過ぎていく 白んだ都会の隙間で 雫を飲む華奢な影が 汗ばんだ背中越しに 呟いた 消えないで 聞こえていたんだ 雨が降るたびに思い出すだろう 繰り返すだけの夏のように 君の声をまだ忘れられず 一抹の日々に縋る僕は 茜色に変わる夢の中で 痛みも知らずに好きだと言えたなら 積もる音 舞う涙 いつかまた この手が届くまで