朧月 浮かべた 鈍色(にびいろ)の空には 今宵もざわめく 悲しみの声を 遠く響かせて 紅の涙を 人目 忍び流す 今宵もどこかで 散りゆく命を 遥か舞い上がる幻 狂い咲く花弁 白く揺れるその影 見つめて Ah・・・ 零(こぼ)るるため息は この心締め付ける 痛みは 消えずに 今 脈打つ胸 燈した火 波,風,切り 天,裂く光 青い青い炎 朧月 浮かべた 鈍色(にびいろ)の空には 今宵もざわめく 悲しみの声を 遠く響かせて 紅の涙を 人目 忍び流す 今宵もどこかで 散りゆく命を 遥か舞い上がる幻 はらり剥がれ落ちる 偽りの笑み 見透かす 瞳 Ah・・・ まだ かすかに 胸燻る火 空,海,割りて貫けば 赤い赤い血よ 朧月 覆(おお)いし 憂(う)き雲を追う夜 今宵も祈るは 静寂の眠り 魂よ眠れ 紫の水面に その心映して 今宵もどこかへ 流れて彷徨う 儚(はかな)き この身も幻 目を閉じて(目を閉じて) 闇を聞く(闇を聞く) 朧月 浮かべた 鈍色(にびいろ)の空には 今宵もざわめく 悲しみの声を 遠く響かせて 紅の涙を 人目 忍び流す 今宵もどこかで 散りゆく命を 遥か舞い上がる幻 月明かり射す 江戸まぼろし