しとしとと 降る雨の中 兄貴がいたよ 火の消えた 煙草が口で ふるえてた あんな悲しげな 兄貴の姿を 今まで一度も 見たことがない 傘があれば さしかけてあげたいが 見ないふりして 通り過ぎたよ ぐい呑みを 静かに伏せて 兄貴がいたよ 酔いきれぬ 気分のままで 座ってた お前これからは 一人でくらせと きびしい目をして ポツンといった 何かいえば 叱られてしまいそう 何もいえずに うなずいてたよ しらじらの 夜明けの駅に 兄貴がいたよ 泣きじゃくる 女をのこし 旅に出た 深いわけがある ことだと思うけど なぜだか悲しい 風景だった 強いはずの 男でも泣くことが あると知ったよ 兄貴さよなら