君と観たとある映画 札束を海に投げ飛ばすシーン 俗を抜けて 現抜けて 世界と繋がるような感覚 まともになんて ならないままでいようと笑い合った 亭午 蝉の声もかき消すくらい大きな声で 一生この日が続くと思ってた 終わりが来るのはいつでも唐突だ ねぇ Tell me why 夕景みたい 儚く 脆く 思い出が何の足しになるんだろうか ちっとも腹も心も 満たしちゃくれない 名前も忘れて生きられたら どんなに楽だろうか 往生際の悪いエピローグ 思い出したくもないプロローグ 夏、何でもない或る日 君は さよならも告げずにどこかへ ふいに割れた心は床で 未だに片付けられぬまま 愛も金も何もいらない この記憶の重りを捨てたい 言葉を吸って憂いを吐いて 胸の奥が張り裂けそうだ 君が描いてくれた似顔絵 部屋に残した画材とペーパーバック 風景を描くのが好きだった それを見ているのが好きだった 誰もいない路地裏で 自販機を蹴っ飛ばす 物に当たるなんてよくないって わかってる よくわかってるよ でもやっぱり行き場がない 不条理を受け入れる広い心がない 感情的になるのを辞められない もう時は戻らない 神はいない どうしようもない 見放された一匹の柔い獣 もう全部消えてくれ いっそまとめて全部消してやる 人ではないものに変わるその前に 茜色の空を仰ぐ 終わりがあるから美しい なんてそんな綺麗事を 軽々しく言わないでくれ 紙もペンももはやいらない この詩は溝に捨ててくれ どうか どうか どうか 其処で 強く 強く 今を生きて 全部壊してしまいたい 恵まれた暮らしも知も名誉も あの時見た花火のように 散り散りになってしまえばいい 本当はこんな人間です どうしようもないくずな人間です せめて終わりは笑いたい この不完全な人生