男が一人で見る夢は 風にふかれてさすらいの 旅の波間に身をあずけ ただひとりきりで生きること 旅の道ずれいとおしく 見知らぬ街の盛り場で 夢を語れば夜もふけて 別れがつらい朝を待つ 夢を語ればなおさらに 朝の白さがさびしくて 言葉もかけずに背を向けて 誰にも告げずに汽車に乗る 愛を交わした女(ひと)もある 別れを惜しんだ女(ひと)もある 何を求めてこんなにも 別れがつづく旅なのか 思えばいつのころだろうか 子供の頃に見た夢は 波止場に泊まった白い舟 荒海こえていく男 あれからいくとせすぎたやら ここには疲れた男がひとり さすらいぐらしの虚しさを 知りつつひたすら歩いている 知りつつひたすら歩いている