艶々の赤い自転車 ブレーキ音高く鳴らして 階段を上る靴音 掠れた声で起こして 朝一のニュース眺めては 取り残された気分になった もう若くないよね、なんて 言いたいだけ ただ何となく 大人になった 微熱が引いて 日が暮れて 長く伸びた 影を踏みながら 開かない踏切の警報だけが 鳴り響いてた そして今 きみはもういない 近過ぎず 離れ過ぎもせず 刻んだ時間に果たして 何の意味があったというのだろう そんなに赦せぬものなのか 私だけ、今此処に立つ きみが辿り着けなかった 「正義」とやらを 信じてたのさ 嘘まで吐いて逃げ出した 人を誰も偲ばないだろう 記憶の隙間からこぼれ落ちて 消えて行くだけ