貴方は思い返した。憧憬のなかで何かを見た貴方は引き返す。
今、骨が砕け潰れ。ゴミクズとなったのは貴方ではなく貴方を苦しめた楔だった。
貴方を縛るものはもはや何もない。
今の貴方はまっさらだった。
また、誰かに楔を打ち付けられるその前に、あなたは旅に出た。
だれもしらぬ場所で、小さな花が揺れる草原で小さな小屋を構え静かで穏やかな時を過ごしていく。
例え、退廃的であろうと。
苦悩に嘆き悲しむことがあろうと。
それでも、追い付けない「幸せ」とやらを追い求め溺れる日々よりは。少なくとも良かった。
金もなく、友もなく、ただ死んで行く日々はうまく笑えないでいる私には。幸せとやらは眩し過ぎた。
フィクションでもない日々は、今日も過ぎていく。
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