名作……と、言うより、《陽のあたらない佳作》
……なんて言われがちな作品にスポットライトを当てる《懐かシネマ 番外編》
そして、サントラが配信されてないなら、作ってしまおうホトトギス!な、プレイリストを目指します。
『カリブの熱い夜』『硝子の塔』に続く第3弾は、
レコード・リリースのみでしたが、当時サウンドトラック・アルバムが大ヒットした 1982年度作『ナイトシフト (ラブ IN ニューヨーク)』の特集です。
ニューヨークの死体置き場の夜勤として働くチャック・ラムリー(ヘンリー・ウィンクラー)
アパートの隣室に住むベリンダ・キートン(シェリー・ロング)は《体を使って商売するお仕事》の女性。
彼女は、せんだってヒモを殺され、
《ケツ持ち》を無くした事で、客から暴力をふるわれたり、お金を踏み倒されたりで、仲間たち共々 難儀していました。
チャックの同僚、自称《アイデアマン》の助手のビル・ブラゼホフスキ(マイケル・キートン)は、死体の運搬に使われるリムジンを勝手に流用し、ハイヤーをやって金を儲けたりする様な男。
そんなチャックとビルは、ベリンダたち《姫》の商売がうまくいかないのを知って、
彼女たちに、彼らの事務所と車を提供することでヒモ的な立場になりますが
チャックがベリンダにほれてしまったり、暗黒街の連中とトラブルになったりで、大騒動になってしまう!
ロマンティック・コメディの良作!
ロサンゼルスでコメディアンをやっていたマイケル・キートンは、この作品が映画デビュー。
この作品で認められ、次作『ミスター・マム』(83年)では主役に。
当時、俳優で監督をやり始めたばっかのロン・ハワードは、本作が監督2作目。
この後は、『スプラッシュ』(84年)『コクーン』(85年)でヒット・メーカーに。
1986年には、再びマイケル・キートンとコンビを組んで
日米カルチャー・ギャップ・コメディ『ガン・ホー』(日本劇場未公開)の撮影に揃って来日。
そんなこんなで 今や、ロン・ハワードは『ロバート・ラングドン』シリーズや、『スターウォーズ』のスピンオフ作品を手掛けるなど、ハリウッドを代表する監督に。
マイケル・キートンも、『ビートルジュース』(89年)、『バットマン』(89年)を経て
『スパイダーマン』や、タランティーノ作品。
また、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』では、名だたる映画賞を受賞しました。
『ラブ IN ニューヨーク』自体は、ライトな良作…と言うような位置づけの作品ですが、
その後、大物になっていく男たちの《巣立ち》の映画と言えるかも知れませんね。
今回、プレイリストを作って 残念なのは、バート・バカラック作の、オープニング曲『STREET TALK』が無かった事。
ジャジーなフュージョン・ミュージックです。
その他 楽曲を含め、音楽を担当したのは当時夫婦だったバート・バカラックとキャロル・ベイヤー・セイガー。
その中で秀逸なのが、エンディングでロッド・スチュワートが歌う『That’s What Friends Are For』。
この曲は、1985年にディオンヌ・ワーウィックが、
スティーヴィー・ワンダー、グラディス・ナイト、エルトン・ジョンと共演したカバー・バージョン『愛のハーモニー』
(演奏は《ディオンヌ&フレンズ》名義)
の方が一般的に広く知られており、こちらは全米No.1ヒットに輝きました。
ポインター・シスターズの
『 THE LOVE TOO GOOD TO LAST 』(邦題『幸せすぎて』)
は書下ろしではなく、1980年のアルバム『 SPECIAL THINGS 』に収録されている曲です。
この曲は、バカラック、キャロルの他に、ピーター・アレン
(ライザ・ミネリの元旦那で『ミスター・アーサー』(80年) の主題歌『ニューヨーク・シティ・セレナーデ」(Arthur's Theme (Best That You Can Do))』で、
バート・バカラック、キャロル・ベイヤー・セイガー、クリストファー・クロスとともにアカデミー歌曲賞を受賞 )
も参加してます。
バカラックは、
「こいつは曲先だったかな。ピーター・アレンが曲と詞の両面でサポートしてくれたんだ。」
と、言ってます。
この曲は、映画の終盤、チャックがベリンダを連れ戻しに入った会員制クラブのBGMとして流れます。
これら、ポインター・シスターズに曲を書いた事について、
『バート・バカラック自伝 - ザ・ルック・オブ・ラヴ』(原題『Anyone Who Had A Heart』)では
「 いっしょに曲を書きはじめたとき、まずキャロル(キャロル・ベイヤー・セイガー)に言われたのは、
もしラジオに復帰したければ、曲をもう少しシンプルにする必要があるということだった。
キャロルはとてもビジネスに鼻が利き、わたしが会ったことのない、さまざまな分野の人々を知っていた。
わたしが方向転換を遂げるにあたっては、彼女の助けが大きくものを言っている。
なぜなら当時のわたしは完全にあさっての方を向いて、とっつきの悪い曲を書いていたからだ。
最初にレコードになったわたしたちの共作曲は、『消えたあの頃 (WHERE DID THE TIME GO)』。
リチャード・ペリーのプロデュースで、ポインター・シスターズがレコーディングした。
ピアノはわたしが弾き、ストリングス・セクションの指揮も取った。
ヒットにはならなかったものの、キャロルとわたしは正しい方向に進んでいると感じることができた。」
と語ってます。
バート・バカラックにとって、この頃は《トンネル》を抜けて、再度 輝きを掴もうとしていた時期だったんですね。
そんな『ラブ IN ニューヨーク』、御時間があれば 御鑑賞下さいませ😄
《オリジナル・サウンドトラック・アルバム 収録曲》
Quarterflash 『 Night Shift 』 4:02
Burt Bacharach 『 Street Talk 』 3:35
Al Jarreau 『 Girls Know How 』 3:26
Pointer Sisters『The Love Too Good To Last 』3:32
Rod Stewart『 That's What Friends Are For 』 3:54
Marshall Crenshaw『 Someday Someway 』2:49
Heaven 17 『 Penthouse And Pavement 』5:13
Talk Talk 『 Talk Talk 』3:17
Rufus & Chaka Khan 『 Everlasting Love 』3:30
Burt Bacharach 『 That's What Friends Are For (Instrumental)』 4:06
《作品データ》
原題『NIGHT SHIFT』(夜勤)
監督: ロン・ハワード(アカデミー監督賞受賞)
音楽: バート・バカラック
出演:
ヘンリー・ウィンクラー『幸福の旅路 』(77年)
マイケル・キートン『バットマン』(89年)
シェリー・ロング『マネー・ピット』(86年)
共演
ジーナ・ヘクト
パット・コーリイ
バーバラ・アン・グリミス
ジョー・スピネル
モニーク・ガブリエル
ニタ・タルボット
ケヴィン・コスナー(!😳) 他
1982年 アメリカ映画
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