拝啓 僕はとっても残念でした あの日、君が ホワイト・ジーンでなかった事が スカートもいいけれど、 ホワイト・ジーンなら もっと、かっこよかったと思います あの日の映画 “ダーティ・ハリー”はどうでした 君はニュースのほうが 楽しそうだったけれど クリント・イーストウッドって いいでしょう こんども学割で 見られたらと思います 帰りに飲んだコーヒーは おいしくなかったね たっぷりミルクを入れた方が よかったみたい 昨日、インスタント・コーヒーを 一ビン買いました 家で飲むコーヒーって なぜまずいんでしょう 今度お金がはいったら、 テレビを買おうと思います 隣りの田中さんが、 カラー・テレビなので 深夜劇場まで見せてもらっています でも、いつまでもそうしては いられないでしょう 田中さんの奥さんが とってもいい人で 今朝もベーコン・エッグを ごちそうになりました おかげで、僕は元気です この手紙、 おお急ぎでポストに入れて来ます そうそう、 まだ思い出した事がありました 僕と映画に行って、 コーヒーを飲んだ事を もうお母さんは 知っているのでしょうか もう僕の事も話したのでしょうか バス停まで送って、 帰り道に考えました お母さんは君の話しに 微笑んでくれたでしょうか まあいいや、 紙が残り少なくなりました 田中さんからも よろしくとの事でした ごきげんよう、ごきげんよう