蝉の声が聴こえますか? 夢を教えてくれますか? だいたいどれも嘘つきなようで 君もどこかへ 虚ろ 虚ろ 転んでばっか 小さな器に溢れて どこか寂しげな横顔も 「ただそれだけのこと」も 揺れる 涙にぬれていく まわる まわる 君を囲んで 聞きなれたあの鳴き声も 好きをくれたあの背中さえ 君だけを囲んであざ笑う 続く 続く 環状線は 終わりも知らずに夢うつつ あの日芽生えた感情さえ 嘘だらけの日々に消えていく それの音が聞こえるたび 君をここから遠ざける いつの間にかひとりきりにも なれてしまったね 「人は一人じゃ生きられない」 「困ったときの友達」 浮足立つキレイゴトにも 「もう散々なんだよ」 ぽつり雨音が響く 「明日 私が 消えるのなら 君は 笑ってくれますか?」 こらえた涙があふれ出す 耳障りなほどに無表情 鳴いて 鳴いて そのまま鳴いて 終わりに気づいて宙ぶらり 知らないはずの感情でも みじめな夕焼け 蝉日記 夕暮れの火 君を隠して 蝉よ このままもっと鳴き続けて あの子が泣き止むまでずっと みんな聴こえないフリをして 届かないものだとあざ笑う 泣いて 泣いて 泣き疲れたら そのまま落ちて おやすみ もう動かない抜け殻には 君と夢見心地 蝉日記