読みかけの古い本が かぶったホコリに 目を閉じてふうっと息をかける 言葉は到底 頭には入らない 私はひたすら文字をなぞるだけ 眠れない夜が怖い最近の私は やたら寝酒を体に入れたがる 机に置いた袋には気が付くと あの人が良く飲んでた 缶チューハイ にがいにがいにがいなあ あの時は知らなかった 二人の味と一人の味は こんなにも違うのねと秋の月 こんな時代 傷心には向かなくて それは目をふさいでも私に届く 大好きだった あの笑顔は不意打ちで 突然上から降ってきて泣かせるの 何をすればいいのか分からずに 引き出しから取り出した運動靴 走る横には 夕方の河川敷 昔ここで二人 夏の終わり 感じてた 赤い赤い赤いなあ あの時気付かなかった 二人の色と一人の色は こんなにも違うのねと 秋の月 あんなにも好きだった たばこも初めてやめたのに もう戻らない あのダメな私へ 幸せはまだ遠いようだ よわいよわいよわいなあ 酔ってももう電話はしない こんなにも遠いのね こんなにも遠いのね 秋の月