仏は常にいませども現(うつつ)ならぬぞあわれなる 人の音せぬ暁にほのかに夢に見えたもう

このアルバムの収録曲

• 1.白鳥は哀しからずや空の青 海のあおにも染まずただよう
• 2.やわらかに柳あおめる北上の 岸辺目に見ゆ泣けとごとくに
• 3.ねこの子のくびのすずがねかすかにも おとのみしたる夏草のうち
• 4.とくとくと垂りくる酒のなりひさご うれしき音をさする物かな
• 5.めぐり逢いて見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし夜半の月影
• 6.あおによし寧楽の京師は咲く花の 薫うがごとく今さかりなり
• 7.我が背子を大和へ遣るとさ夜ふけて 暁かけて露に我が立ち濡れし
• 8.旅人の宿りせん野に霜降らば わが子羽ぐくめ天(あめ)の鶴群(たづむら)
• 9.君が行く道のながてを繰(く)り畳(たた)ね 焼き亡ぼさん天の火もがも
• 10.あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る
• 11.紫のにおえる妹(いも)を憎くあらば 人妻ゆえに我恋いめやも
• 12.小竹(ささ)の葉はみ山もさやに乱(さや)げども 我は妹(いも)思う別れ来(き)ぬれば
• 13.銀(しろかね)も金(くがね)もたまも何せんに 勝(まさ)れる宝子に及(し)しかめやも
• 14.新(あらた)しき年の始の初春の 今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)
• 15.大和は 国のまほろば 畳(たた)なづく 青垣(あおがき) 山籠(やまごも)れる 大和しうるわし
• 16.東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな
• 17.石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上のさ蕨(わらび)の 萌え出づる春になりにけるかも
• 18.田児(たご)の浦ゆうち出でて見ればま白にそ 不尽(ふじ)の高嶺に雪は降りける
• 19.花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に
• 20.これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関
• 21.見わたせば柳桜をこきまぜて 都ぞ春の錦なりける
• 22.白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける
• 23.秋きぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる
• 24.大海の磯もとどろに寄する波 われて砕けて裂けて散るかも
• 25.霞立つ長き春日をこどもらと 手まりつきつつ今日も暮らしつ
• 26.ゆく秋の大和の国の薬師寺の 塔の上なる一ひらの雲
• 27.仏は常にいませども現(うつつ)ならぬぞあわれなる 人の音せぬ暁にほのかに夢に見えたもう
• 28.湧きいづる泉の水の盛りあがり くづるとするやなお盛りあがる
• 29.おとめらが泳ぎしあとの遠浅に 浮環(うきわ)のごとき月浮かびいでぬ
• 30.八雲(やくも)立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を