甲州街道と井の頭通り そして水道道路が 交わりそうで交わらない そんなエアポケット みたいな地点でおまえは ボサッとたたずみをキメている その瞬間も加速し続ける 惑星のスピードを 便所サンダル履きの 足の裏に感じている 自販機ばかりの パーキングエリアで 置き去りにされた気分 何を忘れてしまったのかも 忘れてしまって 遠くで五時のサイレンの音 晩飯の支度をしているにおい 消しゴムのカスみたいな気分で 夜はより一層 夜になっていく 群青色の気配がおまえをつかみ取る 舞いあがる光の粉 西の街が燃える くさびたランドセルも 飛びはねる猫も 夜になる 夜になる 夜になる 夜になる 夜になる 夜になる 夜に オレンジ色に染まる 商店街の空気のなかで 14歳のおまえと 22歳のおまえがすれ違う 14歳で人類は終わる 交差点を左に曲がり 中野方面にむかって歩き出す 空にグレープフルーツほどの 馬鹿でかい月がかかる その革命の空気のなかを ひとりで歩いていく その先は夜に その先はおれは知らん その先は夜に その先はおれは知らん その先は夜に その先はおれは 夜になる 夜になる 夜になる 夜になる 夜になる 夜になる 夜に