何もわるいことは ないけれど わけもなく 私は帰りたい ながい髪を 風になびかせた 思い出の花咲く 故郷(ふるさと)へ 涙もろい母が 待っている あの家が 今ではなつかしい 荒れた細い 指をにぎりしめ 元気だと 安心させたいな 私のお母さんは東京を知りません れんげの丘と冷めたい谷川と一年に 幾度かバスに乗って出かける 小さな町が すべてなんです だから私が時々送る 絵はがきを大事に大事に しまっているんだそうです 夜のホームに 一人たたずんで 故郷をしのんでみるだけで 熱いものが ほほをつたわって ハンカチが冷めたくぬれていた