「教えて 何処に行くの」 可憐なあの子の瞳 言葉に引き寄せられて 消えてった 畦道に佇んでいる 一人きり 紅蜻蛉(べにとんぼ) 向こうの方から 呼んでいるのは誰? 七つの歳になると 売られる花いちもんめ 何処にも帰る場所なんて 最初から無い 「教えて 何処に行くの」 怯(おび)えたあの子の瞳 言葉に引き寄せられて 舞い散った 夕暮れの逢魔が刻に 羽根折れた 紅蜻蛉 もう何処にも飛べない 命 朽ち果てるまで ほら 聞こえてくるでしょ? 目隠しして遊んでる間 背後に忍び寄る あの子の不気味な笑い声 「行きましょ あなたも一緒に」 呼ぶ声 蠢いている 湿ったその声からは 逃げられない 七つの歳を数えると あの歌 聞こえてくる 子供の戯れが始まり 生け贄の花が散る あの子の 最後の笑顔 揺蕩い(たゆたい) いつしか消えた 「帰りたい」 か細い声は 届かない 遠くで遊ぶ笑い声 また一つ 消えた