朝陽が今にも昇りそうだ 準備はまだ出来ていないのに 砂の上をしっぽがなぞったような 淡い夢の跡 波がさらって行く 行かないで哀しみ まだここにいてよ 奪わないでまだ青い孤独に 爪を立てないでいて キラキラ光る魚の群れが 蜃気楼立つ水平線で 泳ぐことも空を飛ぶこともできない 僕をからかうようにして遊んでいる 行かないで苦しみ まだここにいてよ そっと撫でて この寂しさに名前を与えないで 僕の時計より少し早い世界は いつも嘲笑うんだ スイミーにはなれないんだって 100万回は生きられないのに 気づけば白猫もいない 行かないで朧月 まだここにいてよ 照らしていて 揺蕩う波間に 鈴の音を見つけて 朝陽が今にも昇りそうだ 準備はまだ出来ていないのに