人のさだめの悲しさは うき世を憎んで船を出し さすらい人になったとて いつかうき世が恋しくなる せめて今夜はこのさかずきに にがい酒をばなみなみついで そしてひといきに飲みほそう そして悲しみ 飲みほそう 人の情けのうれしさは たとえばレモンの味がして 口にふくめばすっぱくて わけもないのに涙ぐむ せめて今夜はこのさかずきに 甘い洒をばなみなみついで そしてひといきに飲みほそう ほらあんたの情けを飲みほそう 旅する男の淋しさは 夜汽車にうつる白いかげ 昨日と今日にとり残されて それでも夢追うさすらい人よ あなたは見知らぬ人だけれど 酒にうれいを流してしまおう そしてひといきに飲みほそう そしてさだめを飲みほそう