春がすぎた街路樹通りから 抜けてくる車の足音 錆びた手すり 歩道橋の向こう 夏の準備を初める雨 灯りだした街灯のパレード ふたりだけの 秘密の場所 確かにここにある 僕らの輪郭を 時間が忘れさせてしまっても 変わらない言葉で いつか君が隠した 透明な傷跡に 花束を 君の窓を たたく風に乗せて いつの間にか忘れてしまう 誰かと鳴らした夜を いつの間にか忘れてしまう 夕焼けが滲む時計を いつの間にか忘れてしまう 薄明かり交差点を いつの間にか忘れてしまう 君と生きたあの街を 飛び出した高速バスの中 沈黙と音楽 意味もなく 溢れ出す いつかの面影 目が覚めて数秒で消える 一瞬と永遠の中で またいつか その時は 変わらない言葉で いつか君が隠した 透明な傷跡に 花束を 君の窓を たたく風に乗せて