君が抱えてる心の傷口に、 優しいふりの嘘を 擦り込んでく。 疑いもせずに、 偽善だとも知らずに、 依存(よりそ)うことが、 君の生きがい。 ずるり、どろり、 引き摺り込んで、 戻れない底へ堕としてあげる。 いつか君が 僕だけ求愛(もとめ)て、 哭く姿を見てみたい。 君が望むなら、僕は王子さま。 目覚めのキスなら、 毒入りの愛で。 騙してあげるよ、 楽になれるなら。 嘘は毒にも薬にもなる。 だから、悪くはないでしょう? 君が不安がる虚ろな関係も、 僕はきつく口虚(うそ)で 縫い合わせる。 気付かなくていい。 本当のことなんて。 知らない嘘は、無いのと同じ。 するり、とろり、 飲みやすいように、 甘く溶解(とか)した薬みたいだ。 まるでお菓子のように 見せかけて、 君に口うつす偽薬。 僕との夜だけ、君はお姫さま。 ガラスの靴履き、 死ぬまで舞踏(ダンス)を。 愛してあげるよ、 苦しまないように。 嘘は何より君を救える。 誰が僕を咎めるの? 清く正しい真実の方が、 よほど残酷な毒になるでしょ。 午前0時、眠れないほどに、 生息(いき)ることに怯えている。 毒はどちら? 君が望むなら、僕は王子さま。 目覚めのキスなら、 毒入りの愛で。 演じてあげるよ、 魔法が解けるまで。 僕は毒でも薬でもいい。 それも悪くはない。 嘘つきな、毒の王子さま。 夢を語らずに、 現を騙るけれど。 僕だけに君は咲(わら)う。 それだけは嘘じゃない真実。 だから、悪くはないでしょう? それでいいよ。