ひらひらひらひらり 想ひ出舞う夜に 過ぎ去りし季節はまるで遠い昔話で あの頃の二人はもう風の中… (ゆらり ゆらり) 八十八夜に出会って 蝉時雨の夏には 夢ばかり見ていた 秋の空 すれ違って 悴んだ手 繋ぐ冬は… (ゆらり ゆらり) あゝ ひらひらひらひらり 想ひ出舞う夜に あなたがくれた優しさが ぽつりと灯っています 恋花火 咲くや 咲くや 憂き世を彩る まだ涙さえも知らぬ僕らのため 出会いと別れの切なさを 教えるなら ただそのまま 魅せて 幽玄で華麗なほどに 淡く儚く その意味に触れた時に 愛しさが宿る 咲いて 想って 憂き世を彩る いま頬を伝う涙が零れる頃 "花冷えの 宵に舞うのは 恋吹雪 散りゆく姿 美しきまま" 無常の目映さで "朧月 風の隨[まにま]に 誰想ふ" 移ろう心さえも… (ゆらり ゆらり) あゝ ひらひらひらひらり 想ひ出舞う夜に 言の葉がこの掌で ぽつりと滲んでいます 恋花火 咲くや 咲くや 憂き世を彩る まだ歩き方も知らぬ僕らのため 胸を締めつける哀しみも 抱えながら ただこのまま 響け 有限の時間の中で 鼓動奏でる その刹那を照らすため この生命[いのち]燃やす 泣いて 笑って 憂き世を彩る いま歩き出す理由に巡り逢う頃 いつまでも いつまでも その笑顔枯らすなかれ どこまでも どこまでも 季節は変わりゆけども 覚えている 二人描いた夢は 暗闇照らす花火だった 恋花火 咲くや 咲くや 憂き世を彩る まだ生きる意味も知らぬ僕らのため ひとたび出会えた喜びを 刻めたなら ただこのまま 届け 偶然のような運命で 明日が生まれる その奇跡が巡るたび 花びらを咲かす 散って 吹雪いて 憂き世を彩る いま新たなる自分が芽吹きだす頃