朱雀大路の地平に 諸行無常の陽は落ち はるか艮(うしとら)の母よ 明日我は旅立ちぬ この国は誰(たれ)も鬼の貌(かたち) それから 吹く風も胸を通り抜ける ここは 羅生門 あれは鳥辺山の僧 阿弥陀願い我身焼く 幸せは奪い掴むものか それとも ゆく河に身を任すことか ここは 羅生門 通りゃんせ通りゃんせ あの世とこの世の六道の 通りゃんせ通りゃんせ 帰りは難儀な辻なれど 東の方 青竜昇りて上弦の月なる 西の方 白虎の漲(みなぎ)る 血潮を飲み干さん 南の方 朱雀(しゅじゃく)の囀(さえず)り 音にも聞け我を 北の方 玄武に跨(またが)り 暁(あかつき)へ駆けゆく