あいしていた、さめやらぬ幻想 夜を跨ぎ白む空と曇るレンズ 意地になって、 歩いて帰った朝の微睡みのなか 君の言葉がとがる 「あなたはそのままで 変わらずいてね」 呟いた君の、 優しく見せかける 透き通る嘘なら 甘い恋の名残 消えかかる香りに 淡い愛 ああ、痛くはない 聞き分けのいい振り あいしていた、他愛無い目標 怠惰な昼を流す心地よいニュース 意地になって続けたひとりの決め事 いつからか失くした 君は知らないまま 「あなたはそのままで」 大事なことは何も言えぬままで 優しく見え透ける 愚かしい嘘なら 甘い恋は終わり 消えかかる拘り 淡い愛 もう会いたくはない 諦めのいい振り 冬の雨は雪に変わり 街の音は遠くなり 君の声だけがいやに残る この手を伝う冷たさこそが 世界の温度の筈だったあの日 もう忘れたいのに 止まない雪はただ 白に埋めてくれる あなたのつく嘘も 好きだったこと 「あなたはそのままで」 本当のことは何も言えぬままで 優しさに甘えた 冬のせいにして 甘い恋は終わり 雪の溶けるとともに 淡い愛 ああ、今更なのに 溶けるのがこわい