灯りをぜんぶ落として 背中に爪が刺さる いつの間にか こうして 僕らはケモノになる 目が覚めてもまだここにいる カビ臭い6月のワンルーム 少し冷めた紅茶を飲む 彼女は夜に浮かぶフルムーン "ここは ラブホテルじゃないんですよ" 扉に張り紙を見つけた 2人で目を丸くしたもんだ 床に置いたラジカセからUA 海賊版 映画二本立て サミット寄って今夜の献立 西口から2人は下ってゆく あのバイクは電動で 雨の打つ音が強くなる 濡れたTシャツ 脱ぎ捨てる 冷たいタイル 声響く 熱いシャワーに湯気のぼる 霧の濃い森の中で 見失いそうになる影 匂いと熱に誘われ 二匹は一つになるだけ 闇に深く潜りそれは 夢に落ちたケモノ 隙間から覗く空に あれは夏の雲 公園は子供で溢れ 犬連れの二人はどこか あの日の夜の僕ら 片手のアイスが溶ける 灯りをぜんぶ落として 背中に爪が刺さる いつの間にか こうして 僕らはケモノ