嬉しいことにだって 悲しいことにだって 心が慣れてしまったのは いつの日からなんだろうな 優しさは少なくなって 代わりに ズルさを手にしていた 矛盾なんてのは もう へっちゃらさ 声を上げて泣きたい気分 漠然と ただ 漠然と 撫でてみたこの胸の内側に 引っかかって 邪魔をしていた あの夏の物語 まるで世界が 変わるくらいの恋を 君と演じてしまった あの花火が慌ててしまう程の 長い長いキッスでした たとえ世界が終わるとしても 僕らには 些細なことだった きっと 花火の音が 止むまでの 儚き永久を手にしていたから 真夏の色に染まって はにかみにも酔っ払って ドラマティックなんて 期待してさ 夜の薫りに 浮かれていたんだ 呆然と ただ 呆然と 満天の星空に照らされて 夜が終わる名残惜しさに 為す術も見当たらない 浴衣の君に魅せられてしまって 三十一文字には収まらない あの花火は敵か味方か 煙る空に幸を問うた あの日 世界が終われば 良いなんて 不謹慎にも脳を過ぎった もう花火の光は見えないよ 僕らの夏が終わって行った 忘れはしないよ 時の流れに逆らって 枝垂れ柳のスローモーション 幾重にも織り成す夢 口が裂けても 言わぬと決めた 甘いセリフが声に換わった 男に無き筈の二言とやら 今宵限りは許したまへ まるで世界が 変わるくらいの恋を 君と演じてしまった あの花火の 終わりに気付かぬ程 長い長いキッスでした たとえ世界が 終わるとしても 僕らには些細なことだった あの花火の光が止むまでの 儚き永久に酔いしれていた