貴方にはわからないよ、なんてのは傲慢だ 排気ガス塗れの東京を練り行く 札束で心が買えるなら本望だ 傷一つない新しい心にして いっそ僕の全部、カトレア 君にあげたいのに最後だ 窓際の花瓶には君を挿しておくから わかっておくれよ 心を買い換えたはいいものの不鮮明だ 空が曇るから何かが晴れないようでさ 札束で見る目が変わるなら本望だ 曇りのない新しいまなこを買おう いっそ君の全部、カトレア 何も見えないで眠ったら 目が覚めた世界は雲ひとつない鮮やかだ 戻っておくれよ そして僕の全部が消えて 夏陰の間眠っても 君のいた世界をどこかで思っているから ほら、いっそ僕の全部カトレア 君に上げたいから最後だ さよならの時間はわからないようにするから、 笑っておくれよ