Track by山本海
髪の乾きもしない間に 遠くに聞こえるにぎわいよ ひしゃげてしまった夕まぐれは ナイターの明かりに溶かされた 伏せた小説も 溶けきってしまったなら 読めなくなるでしょう 湯船のお湯は抜かないでおくよ そうすればなにもなくなるから 綿糸の匂いが すっかり取れたTシャツは まだ馴染まない からんと蛇行を重ねると ふたりも明かりを点けるころ 湯船のお湯は抜かないでおくよ そうすればなにもなくなるから