見上げた夜空に 月がふたつ ちぎれて輝く 私の瞳も年をとり 見るものすべてが にじんでゆがむ 乱視がすすみ 妻がふたりにダブって見える 妹みたいな妻だったけど 確かに今は父親に見える 陽暮れの街角響く歌声 名もなきその唄 若き人たち夢をみる スポットライトを憧れ目指して そんな時代は 僕にもあったが君とは違う 恋することを誰かの真似して LOVEと飾って唄いはしなかった 浮気がバレた酔いすぎて 間違えたのだ勘違い その人抱きしめ今夜は帰ると 囁きかけたがそれは妻だった 酔って我が家へ 帰って来たことすっかり忘れてた 妻も立派だ タクシー呼んで 手を振りながら見送ってくれた ひとり酒場でふと唇が 歌い出すあの唄 あの素晴らしい愛をもう一度 僕らの唄は何処へいったのだろう 悲しい癖だな 星占いで恋愛運が 吉と出てれば妻に隠れて 梅の小枝に強く強く結ぶ 茶髪の娘が踊りながら テレビで歌っている あまりの動きの素早さに 見ていて疲れるじっとして歌え 子供がテレビを離れたスキに チャンネル変えてそっと見詰める 天気予報のお天気お姉さん スキです普通の人だから ダメージの詩唄えば切なく 青春は遠く過ぎ去り 我ら中年よ夜明け前の 闇に歌おうダメージの詩