古びた本を彩る うさぎの森のお話 跳ねた足、草の根から 恵をもたらしたという 薔薇(いばら)に眠る姫君の 想いは朽ちる 閉じた瞳(め)に 映る景色はいずこ 忘却の 地図から消えた 古城(こぎ)に芽吹く息吹 消えないように この地守りし 少女の手が 摘み取り、重ね 白詰草の 冠を 編み続けている 木漏れ日浴びた 小鳥の羽 インキに浸し 綴るページは 時を超えて 語られない秘密の おとぎ話 古びた本を彩る うさぎの森の人々 宵の明星、落ちた星で ランプを象ったという 水底(みなそこ)祈る姫君の 想いは果てる 歌声は 泡沫(うたかた)に消えゆく 忘却の波が運ぶ たて琴の音 遠く 永遠に響かせ Ura ag imi usokon inimik Iratagonom usokon inimik Ura ag imi usokon inimik Iratagonom usokon inimik 照る苔や落ちた木の実 薄氷の川の眠り 解けて 森を駆けゆく うさぎの背に緑風が吹き 少女が紡ぐ 古の詩(うた)記す物語よ いのちの鼓動 草木(くさき)から 世界を満たし 白詰草の冠を 被り舞う樹々と歌う 時を超えて未来の訪れを待つ