いつしか見ていたあの空を 眺めることも苦しくなった こんなんじゃいつまで経っても 泥水をすする生活とは 別れられないから どうか神様、 この雨を止まさせてはくれないか って願えば叶うほど 甘くないんだよ なんて言われる前に やめにしよう 重い足取りで東京を歩いた 路上で歌ってる青年に訊いた 「金もねぇのに歌い続けて 馬鹿のままで 生きていくんですか」 ふと笑いながら青年は言う 「今が一番生きてる気がするんだ」 馬鹿なやつもいたもんなんだな 客も一人もいない駅前 そりゃそうだ彼の歌は酷いもんさ 自分で気づいているのかも 怪しいくらいに でかい声でさ 社会への不満をぶちまけている 土砂降りの中 歌い続けてる彼を 僕はまだ分からなかった レイニー 明日の行方も知らないまま 僕は東京を歩いている 目まぐるしく回る環状線に 一度身を預けてみても 悪くないかなって 少し思った そんな僕の前で今日も歌ってる 相変わらず客は一人もいないな 僕は彼に一つ訊いた 「金もねぇのに歌い続けて 馬鹿のままで 生きていくんですか こうして今日も棒に振っている 人生を続けていくんですか」 「たとえ食っていけないとしてもさ 誰かに届けばいいや、それに」 ふと笑いながら青年は言う 「今が一番生きてる気がするんだ」 レイニー 土砂降りの雨の中でも歌う 彼のことを馬鹿だと思ったよ 街行く人に馬鹿にされながら 歌う彼を馬鹿だと思ったよ こんな雨なら悪くないなって 笑う彼を馬鹿だと思ったよ 彼のように空を見上げて 笑っていたい レイニー