突然に涙溢れ 泣き出す小さな目に いつも通りの笑顔で あまえだけは見送ると 心に決めていたのに…… 時間がない何でもいい 一言話してくれ 汽車のベルが鳴り出した 耳に残しておきたい おまえの小さな声を 紙切れだけで 愛が裁けるものだろうか 女として生きてゆく 母のもとへ 汽車はホームを離れる こぶしをかみ見つめている おまえが扉越しに 消えてゆく駅のホームに 秋のソナタが聞こえていた ♪ おまえがいた部屋の隅に ちいさなグラブ一つ 楽しかった公園の 二人きりの休日を 嫌でも思い出させる 紙切れだけで 愛が裁けるものだろうか 女として生きてゆく 母のもとで 暮らすおまえの日々を この部屋で思い出だけ 抱きしめ生きてゆける 強い男じゃないことだけは 今確かに気付いている この部屋の窓の外の おまえが生まれた日の 記念樹を植えた庭にも 秋のソナタが聞こえている