私は クレタの王子です 私は はるばる海を渡り あなたに心の奥を伝えたくて ここにいたり みずからの 非力を感じ 岩にのぼり かすかな声で 月に向かいて歌をうたって さびしさを慰め 慰め また帰ろう わが心のうちに憧れだけを秘めて ああ リンドス この浜辺に波は寄せて 夜だというのに月の光で海は青い エーゲのブルーは 青く 青く どこの海よりも青い なにゆえに青いのか 私の涙がしずくとなって 浜辺にポトリと落ちて 青くなった涙ゆえ あなたへの恋ごころは 伝わらないゆえに 涙する 涙する エーゲ海に私の涙 この涙が海を染めて青くなってゆく 青くなってゆく エーゲ ああ この浜辺に来たのははじめて けれどもなんだろう この不思議な力は 永遠の昔より 私を魅きつけやまない ああ どこかに私の魂を魅きつけ 魅きつけ 魅きつけて苦しめる方よ あなたがもしも 私の心がわかるなら どうか降りてきて会ってください しかし それさえかなわぬものなら 私は岩の上で歌をうたい のどをからし 涙をふりそそぎ エーゲを青く もっと青く 染めて 染めぬいて 悲しみを残そう ああ リンドスは 悲しみの浜 恋の浜