山の碧が消える 空が鼠(ねず)に染まる 水は何も 映しは しない 紅を脱いだ柘榴(ざくろ) 炎すらも白けて 戦慄(わなな)く 吾(あ)が手は 黒く染まる 帰る径(みち)を 探して もう 何も 還せはしない 怨讐(うらみ)の 華 鳥の声が絶える 風の鳴りが失せる 雨音すら 響きは しない 渾(すべ)ての 色が死んだ 音も滅びた 最期に想うは 不憫な 花 死んだ 葉奈(はな)を 殺して 其の 花を 散らせぬ様に 吾儕(わなみ)の 花 噎(むせ)ぶ 妻を 嬲(なぶ)り 稚(やや)を 無下に 殺した 奴儕(やつばら) 残して 逝くに逝けぬ 遺して 逝くに逝けぬ 怨讐(うらみ)の 華