Track by湯川潮音
湖の向こうから 瓦礫で造った船 漕ぎ進む彼 冷たく包む靄を かき分けるように 吸い込むようにして あの日から ずっと待ちわびていた 転がっていた小石を投げて 水面に冠をつくったり 無関心な静寂にのまれて… もう少しで…もう少しで… やっと手に触れると 藪のほうへ走って 去り行く私 あの人は きっと気づかなかった 合わせ鏡の湖は姿を その目に映し出していても 月夜に揺れ全ては歪んで 何にも見えなくなっていって… 目が覚めると… 目が覚めると…