晴れぬ雲が胸を翳らせたままで 目を背けることに 二人慣れてしまった 口に出すことさえ憚(はばか)られる 感情の名前と 向き合えるでしょうか 成り行きで転がり込んだ 手狭に感じるワンルーム 二人過ごすには窮屈すぎるもので 水槽の中溺れるような 酩酊に君の吐いた 息を吸い生きている 手足から果ては脳さえも君に 雁字搦め 腐る心 気付かないふり 「明日一人になったら」なんて 冗談さえ 笑えないこと 何と呼ぼう 癒えぬ傷を胸でくゆらせたままで 言えぬことを重ね二人溺れてゆく 不条理さえ「カナし」などと 嘯(うそぶ)いたはずなのに 宿酔(ふつかよい)に似る 真綿で首絞め合って 終いになってしまおう この身全部骨ごと 飲み干してしまおう 退屈な街の方へと 手足から果ては脳さえも君に 雁字搦め 腐る心 気付かないふり 死にゆく関係を美しいと思うなら この言葉が相応しい “頽落”(たいらく)と 手足から果ては脳さえも君に 雁字搦め 腐る心 気付かないふり 過ちと同じ数抱えた痛みさえ 嫌えないから 愛と呼ぼう