【 幸福を売る男 】 《 越路吹雪 》 おいらヴァガボンド 幸福と 楽しいシャンソン 売って歩く みんな見てるおれが愛の 風にのって通る空を おいらは蒔く いつの日も口づけの麦を この胸にはいつもある 夏や春の唄が 人が悩み涙こぼす そんな時に おいらは行く 胸の中のほころびを つくろう為 おいらは行く 年が来れば来る毎に 濡れた涙ほして 心の舟出す為に おいらは唄 うたう 〈♪〉 おいら涙売るよりも 笑い顔を売るのが好き 代はいらない 人が誰も 幸福なら おいらいいさ おいらは行く いつの日も濡れた涙ほしに この胸にはいつもある 夏や春の唄が おいらヴァガボンド 幸福と 心にシャンソン 置いて歩く みんな見てる軽い愛の 風に乗って 通る空を―――