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法廷かき混ぜ人

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  • 2023.04.29
  • 6:32
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歌詞

弁護士「大丈夫です! 私が必ず無罪を勝ち取ります! ここだけの話、 この裁判に勝ったらボーナスが 貰えるんですよ。 それを見越してもう色々とローン 組んじゃったんで 絶対負けられないんですよね。 とにかく自分を追い込んで 頑張ってるので! 私に任せてください!」 車買っちゃった 白くて綺麗なの 早く納車されないかな 休み取って海岸沿いを ドライブするの 被告は 窃盗の疑いをかけられてるけど 絶対やってないって言ってるし 大丈夫勝てるでしょ 検事「────では、 この辺りで話をまとめましょう。 被害者の蔵から発見された足跡は 被告人が所有している靴と 一致していました。 そして扉に付着していた指紋も 被告人と一致しています。 さらに、 現場に落ちていた布片も被告人が 着ていた服と同じ 繊維だったのです。 もはや疑いはないでしょう。 数々の骨董品を盗んだ犯人は、 被告人で間違いありません。 検察側からは以上です」 弁護士「完全にやらかした……!」 そりゃこんなの勝ったらボーナス 出るわ こいつ絶対やってんじゃん 結果的に私の生活費も盗んでる どうする? 車だけならまだしも エグいパソコンも買っちゃった 勝たなきゃ終わり 勝たなきゃ終わり もやしも食べられない 検事「ど、どうしたの弁護人?」 弁護士 「ローン払えないって……!」 検事「何を言ってるの? 反論があるなら言ってみなさい」 弁護士「い、異議あり……!」 検事「フン、何かしら?」 弁護士 「もうちょっと考えます……」 検事「フッフッフ、 待ってあげましょう」 弁護士「い、異議あり……!」 検事「何?」 弁護士 「もうちょっと考えます……」 検事「早くして。 どうせ結果は同じなんだから」 弁護士「い、異議あり……!」 検事「言ってみなさい」 弁護士 「もうちょっと考えます……」 検事「いい加減にして! かなり待ってるけど︎!?」 弁護士 「証拠って足跡と指紋と 布片の三つでしたっけ?」 検事「そうだけど?」 弁護士「えー? 三つもあるのズルくないですか?」 検事「ズルいとかそういうんじゃな い! 間抜けな被告人が三つも 残したんだからしょうがないで しょ!」 弁護士 「あんま被告人のこと悪く 言わないでくださいよ」 検事「検事ってそういうもんなの! あなたが庇えばいいの!」 弁護士 「でもこんなん 庇いようがなくないですか?」 検事「じゃあもう終わろうよ︎!」 弁護士「それは困ります……」 検事「そうは 言ってもこんなの足跡の 一つだけでも一発だし──」 弁護士 「足跡がダメってことなら、 被告人は 飛べるってのはどうですか︎?」 検事「いや、 どうと言われても……」 弁護士 「飛べる人間がわざわざ 足跡残すはずないですもんね。 ……よし。無罪無罪」 検事「何バカなこと言ってんの。 飛べる 人間なんているはずないでしょ」 弁護士 「いるかもしれないじゃないです か! そうやって マイノリティーの人たちを 無視しちゃいけないと思います! 多様性! SDGs!」 検事「攻め方間違ってるよ! 悪あがきはやめなさい!」 弁護士「裁判長! 検察側は人格に問題があるので 被告人を無罪にしてあげた 方がいいと思いまーす!」 検事「裁判長! 弁護側は手詰まりになり 私への個人攻撃を始めました! もう潮時かと思います!」 弁護士「待ってください! せめて被告人が空を 飛べるかどうかの確認を 行うべきだと思いまーす!」 検事「分かったじゃあ 飛んでみて!」 弁護士 「やっぱやめるべきだと 思いまーす!」 検事「本当は飛べないって 気づいてるでしょ︎!?」 弁護士 「でも被告人って学生の時クラスで 浮いてたっぽい雰囲気だから 浮けるってことで 良くないですか?」 検事「裁判長! いよいよ被告人へも個人攻撃を 始めました! もう錯乱状態っぽいので 判決に行ってしまいましょう!」 弁護士 「あ、 でも先程の検察の発言に対してまだ 言いたいことが! 『本当は飛べないって気づいてる』 という部分なんですが」 検事「何? 何か問題ある?」 弁護士 「なんか J-popの歌詞っぽくないですか?」 検事「だから何なの︎!? あなた今のとこまともな 発言一つもしてないよ︎!?」 そりゃまともにやったって 勝てないでしょ せめて時間を稼がなきゃ 糸口を見つけ出すまで粘るべし 証拠は三つも残ってるけど つつけば隙もあるでしょう 頑張れ私 頑張れ私 負けたらマジで詰む 弁護士 「現場に落ちていた布片ですが、 世の中に同じ 服はたくさんあるわけで被告人が 着ていたものと断じるのは 早計ではありませんか?」 検事「急に真面目にやるじゃん! でもその感じだよ!」 弁護士「ありがとうございます!」 検事「ただ布片には 被告人の汗がついていることが 確認されてるのよね」 弁護士「頑張って損した!」 検事「ごめんね! でも法廷で 頑張るのがあなたの仕事!」 弁護士 「じゃあ……えっと、……あっ!」 検事「個人攻撃はなしだよ?」 弁護士「えぇ? じゃあ……あっ!」 検事「作り話もなしだよ?」 弁護士「じゃあもうないよ!」 検事「裁判長! 終わりましょう!」 弁護士 「あっ、そうだ、 被告人って露出狂の変態なので 服とか着るはずないんですよ!」 検事「個人攻撃で作り 話じゃない︎!? それはそれで捕まるし!」 弁護士 「いえ、 彼が露出狂の変態である証拠は 提出されていないので 捕まりはしないはずです」 検事「いや、 彼が露出狂の変態である 証拠がないと 困るのはそっちだよ?」 弁護士「何その状況︎!?」 検事「知らないよ! あなたが作ったんでしょ︎!?」 弁護士 「とにかく彼は日頃から裸で 過ごしてる人なんです! 現場に布片が 残るはずがありません!」 検事「今まさに裸じゃないけど?」 弁護士 「……裁判中に裸とかいう下品な 言葉を使うのは最低だと 思いまーす!」 検事「お願いだから 事件の内容でかかってきて!」 弁護士 「もう検事側のイメージを 下げるしか活路がない……!」 検事「そんなもん活路じゃない! 変な難癖つけてこないで!」 弁護士 「こんなもん 決まりきってるんだから 難癖つけるしかないでしょ!」 検事「弁護士は絶対にそれを 言うな!」 弁護士 「と、 とにかく下品な言葉を 訂正してください!」 検事「ああもう、じゃあ……、 彼は今まさに 生まれたままの姿ではないので 露出狂の変態とは認め──」 弁護士 「誰しもが生まれた時には服を 着ていないと考えるのは マイノリティーへの配慮に 欠けていると思いまーす!」 検事「SDGsやめろ!」 弁護士 「聞きました皆さん︎!? この人このご時世に 『SDGsやめろ!』って 言いましたよ︎」 検事「いや切り取ったらそうだけど 文脈ってあるでしょ︎!? 生まれた時に服着てる 人なんかいないんだからこの 話終わり!」 弁護士 「生まれつきテンガロンハットを 被っていた 人だっているかもしれないじゃない ですか!」 検事「なんでよりにもよって テンガロンハットなの!」 弁護士 「そんなのテンガロンハッターの 人たちが一番思ってますよ!」 検事「そういう人たち テンガロンハッターって 言うの︎!?」 弁護士 「とにかく検察側は……あれ? 私何の話してるんだっけ?」 検事「ほらもう自分で 混乱してるじゃん! もう服の話やめよう! 被告人の汗が出てるんだから 普段裸とか関係ないし!」 弁護士「え……? じゃあここしばらくのくだり 全部無駄じゃん」 検事「最初からずーっと無駄だよ! あなたどうしてそんなに 足掻くの︎!?」 弁護士 「負けるわけにはいかないんです! 異議あり!」 検事「言ってみなさい!」 弁護士 「もうちょっと考えます……」 検事「このパターンあったな! 今思うとまだ平和だったわ!」 弁護士 「もうとにかく長引かせて勝機を 見つけるしかない……!」 検事「面倒臭いなもう……。 そろそろ帰らせてくれない?」 弁護士 「あ、 検事さんが 今後1年間私に 毎月8万貸してくれるならすぐやめ ますよ︎?」 検事「ついに買収︎!?」 弁護士 「違います!借りるだけですよ︎ 裁判とは関係ない話だし!」 検事「裁判では裁判と関係ある 話をして!」 弁護士 「確かに個人的な話で申し 訳ないですけど! 貸してくれるならすぐ 諦めますから!」 検事「……まあ、 返すなら別にいいけど?」 弁護士「え︎!?」 検事「この裁判に勝ったらボーナス 出るし」 弁護士「この程度で︎!?」 検事「いやあなたのせいでかなり 大変な仕事になってるよ!」 弁護士 「まあとにかく 貸してくれるんですね? じゃあ裁判長、判決お願いします」 検事「やっと終わるよ……」 弁護士 「足跡と服は完璧に論破しましたが 指紋だけはアレなんで 有罪でいいです」 検事「その小さな意地やめろ!」

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