この歌を必死になって書いたとき 命を売ったような気になった ディスプレイに並べられた歌たちが 命そのもののようだった 大事な名前は歩いてゆく 大事な身体は溶けてゆく それも仕方のないことだ 今日も散々、失くして日が暮れる 泣いていたんですか 生きていたいんですか 今日も淡々、歩いた君は見る 美しく散る様を 愛していた小説も映画でも 全て君の糧にしてきた 渾身の剽窃もいいところ 私の中に何もなかった 君は歩いてどこまでゆく 私の身体は消えてゆく 身体だけが消えゆくのだ 今日も散々、過ごした過去を追う なんでこうなったんですか 死んでいたんですか 今日も段々、近づく鐘の音が 終演へと誘う 悲劇に美しさが無ければ カムパネルラも殺されなかった 幸せなんて所詮はエゴで 自己肯定の紛い物だった それでも風に靡く緑や 青の匂いに懐かしくなって 苦しくて息が詰まるのは——— ずっと生きた心地がしなくて 私が私を妬んでは 乖離してゆく自我と価値 いつしか得ていた幸せは 私が死ねばより満たされる そんな感情を隠し書く歌が 明日も頭に響く 今日も散々、失くして日が暮れる 泣いていたんですか 生きていたいんですか 今日も散々、悩んで朝が来て 幸せを謳いながら泣く