或る時誰かが言いました みんな役割があるんだと 足りないものを分かち合って 補い合って生きていると それなら私の空白は 誰かが埋めてくれる筈で 聞こえますか その誰かさん 誰かが誰かに言いました 君の役割はこうだって 「これは愛故の言葉だ」と 「皆そうやって生きてる」と 喜ぶ顔が嬉しくって 必死で役を演じました 呼吸さえも忘れるほど 路地裏のごみ置き場 雑に捨てられたランドセル 笑う時すら周りを気にする癖は いつからだったっけ もしも願いがただひとつだけ 叶うならば終わらせたいんだ この ふざけた演劇を 間違ったまま 生きてきたんだ 今更首輪を外されたって 一体何処へ行けばいいの ただ確かな 自分を欲した その代償がこれですか神様 全部酷過ぎるよ全部 もういいからさ 早く 終わらせてよ 世界は誰かの理不尽と 誰かの我慢で出来ている 押し付けられた酷い役も みんな必死で演じている それなら私の失望も いつかは花を咲かす筈で 意味があると信じていた ささやかな願い事 無垢な希望や将来の夢 祈りさえすればいつか叶うと 誰に教わったんだっけ もしも何処かで見ているのなら 今の私に名前を付けて もう分からなくなったんだ お願いだから 来ないでくれと 震えた両手を合わせ祈って それでも朝はやってくるの ただ確かな 未来を欲した そんなに馬鹿な願いですか神様 全部もう虚しい全部 ただ疲れたんだ 息を し続けるのが 愛されたいと願って 愛される為自分を捨てて 最早観客もいない舞台の上で 声が響いたんだ 「私はここだよ」と泣いている 「どうか気付いて」と叫んでいる 誰にも聞こえない 私にしか分からない "わたし"の声だった 間違ったまま 息をし続け 今更気が付いてしまったんだ 居場所はもうここには無いと ただ確かな 自分を欲して 逃げ込んだ先で見つけた小さな 呪いを解くあの灯りを 今 私の舞台を終わらせるから 目を覚まして