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遙か先の君へ

Track byCIVILIAN

1,260
9
  • 2021.06.02
  • 4:09
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歌詞

5021年6月2日 ついに最後の電波塔が、 太陽の熱と光線によって 機能不全に陥りつつある。 これが焼け落ちれば、 いよいよ僕らは外界から 完全に遮断され、 今度こそ完全にこの世界から 孤立することになるだろう。 かつて海底ケーブルや人口衛星や 無数の電波塔によって世界中に 張り巡らされていた電波の糸は、 今はもう、この場所を除いて すべてが壊れ、 使い物にならなくなった。 ここ以外の人間が無事でいるのか どうかすらも、ここからでは よく分からない。 いま思えば、 兆候はそこかしこに あったのだと思う。 戦争の後遺症か、 行き過ぎた科学の代償か、 自然の猛威か、あるいは 神の思し召しか、 原因が何だったのか、 それはもう誰にも分らない。 調べる術ももうここには無い。 ひとつだけ確かなのは、 僕らの命運は、どうやらここで 途絶えるということだけだ。 ある日を境に、 地球は太陽の公転軌道から外れ、 少しずつ少しずつ、太陽に近付き、 太陽に飲み込まれるルートを 辿り始めた。 泣き喚く人、跪いて祈る人、 自暴自棄になる人、 理性的であろうとする人、 世界中から阿鼻叫喚が聞こえ、 そのあと少しずつ 終わりはやってきた。 今や地平線を 覆いつくすほどに近付いた、 あの巨大な赤い星は、 今まで与えてきた恩恵を 全て返せと言わんばかりに、 殺人的な熱と光を 地表にまき散らしている。 防護服無しでは もう一歩も外へ出られない。 ここだっていつまで 耐えられるのか分からない。 かつて触れ合った人々は 何処にいるのだろうか。 薄暗いシェルターの中で これを書いている。 少なくとも、私が生まれた時から 世界はこうだった。 顔を覆ったフェイスシールド越しに 見る空が、いつも通りの私の空だ。 世界は全て紙一重のバランスで 成り立っている。 地球に生命が生まれたことも、 そこから人類が生まれたことも、 偶然地球が太陽の周りを 回り続けたことも。 それなら今こうして私達が 直面している世界も、危機も、 ほんの僅かな ボタンの掛け違いでしか ないのかもしれない。 私達の世界はもともと不確かだ。 何がどうなって いつ日常が崩れても、 何も不思議ではない。 それでも、私は思う。 なぜ今なのですか。 なぜ私達なのですか。 なぜこんなことになったのですか。 世界を元に戻してください、神様。 遥か先の君へ どうか忘れないでいて 2021年6月2日 僕等がここに居たことを

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