当たり前に彼女は言う 「僕を拐ってくれないか?」 当たり前に目を伏せて多分、 笑っていた 情けないを抱え込む僕を、 笑ってくれないか 浮かんだあの娘は何処へ向かう? と泣いて そう、ただ泣いて! 頑なに隠していた 淡くて脆い思いをさ 掴んだ手の平を見てはただ、 笑ってた 当たり前に彼女は言う 「僕を笑ってくれないか?」 繋いだ両の手解いてさ、伸ばして また繋いで 何もかもを繰り返して 色違いの街を凪いでいた アレも、コレも取り返して、 聞こえない振りをして ああ、 「ひとりきりの今日はいつか、 擦れ違いの明日へ向かうの」 そんなことばで、 無邪気に笑っている ―おしまいを思えば、 はじまりが来てしまう ―間違いの色で、 塗り潰してしまう ―最低なんだ、 僕は其処で笑っている 「ねえ、そうだろう そうだろう?」 当たり前にあの娘が言う 「君を笑ってしまえたら」 浮かんだあの眼の色もさあ、 多分 笑っていた 情けないを抱え込む君を 拐ってしまえたら 塞いだ今日と足りない未来 掴んだ情、不確かな期待 全部、全部ひろいあつめた そのなかになにをみていた? 何もかもを振り返って 色違いの価値、 探していた どれを、どれを選んで、 気付かない振りをして ああ、 ひとりきりの今日もいつか 擦れ違いの明日を迎えて 当たり前の今日にまた、戻る ―どうしたいと今 思ってるのかわからなくて ―間違いない答えを 探していて ―だいたいの思いを 真っ白にしてしまう 「それで良いのだろう 良いのだろう 今は」 ―おしまいを思えば、 はじまりが来てしまう ―間違いの色で、 塗り潰してしまう ―最低なんだ、 僕は其処で笑っている 「ねえ、そうだろう どうせそうだろう?」