風樹の母 あれは一昨年 二月の半ば 朝からつめたい みぞれの日 親をたよるな これから先は 世間の辛さも しょっぱさも お前がお前で 始末をつけろ わかったか わかったね 別れの駅で 母さんの あの言葉忘れない 忘れない ♪ 匂う卯の花 五月の五日 届いた小包 柏餅 涙こぼすな 泣き言云うな いいことばかりを 追いかけて 歩けば躓く どこかで転ぶ わかったか わかったね 古里遠く 母さんの あの便り忘れない 忘れない ♪ 月も半欠け 九月の終わり あれから二年の 杉木立 生きているから 花実も咲くと 働きづくめで 目を閉じた きびしさ やさしさ袷の絣 わかったか わかったね 夜空の星の 母さんの あの姿忘れない 忘れない