川の音は夏の頃 歴史ある小さな蒸溜所 ウイスキーの香りはもう 生活の香りさ いつごろからか知らぬが 庭に並んだ空樽の 決まって右から二番目 その猫は夢を見る しばらく見ないと思えば 得意げにネズミを捕り その猫は実に猫らしく 自分の居場所を知ってる 方々へ伸びる毛並みは 鮮やかな麦の色 長い月日が流れど 猫はいつでも樽の上 決まって右から二番目 その他はネズミ捕り 職人たちは知ってる 樽の中の酒のように 変わらないようで確かに 日々は深みを増すよ しばらく見ないと思えば 二度と会えることはなく その猫は実に猫らしく 自分の居場所を知ってる 方々へ伸びる毛並みは 鮮やかな麦の色 酒をつげば蘇る 飴色の記憶を浮かべ 職人たちはゆっくり 思い出を飲み干す いつのまにやら見知らぬ 小さな猫が住み着いて 我が物顔で寝転ぶ 二番目の樽の上 物語は続くよ