愛憎に疎い悪の花 守る化けの皮 迷いながら口ずさむ うろ覚えのメロディー 嗚呼「どこにも行かないで」 なんて言えたなら 揺らぐこの感情は どこまでも紅 いつまでも消えない代償 催眠が解けた夜 細胞に包まれて 並んだベルトコンベアの上 御行儀よく整列した脳 ブラウン管の奥潜む 映写機に映された ふたりで歩いた畔の小道 嘘臭い鮮明な記憶だ 騙されたと嘆いて 掻いたキミの寝首を 都合の良い思い出に挿げ替えては なかったことにして いつしか鈍くなった心は 愛憎に疎い悪の花 守る化けの皮 迷いながら口ずさむ うろ覚えのメロディー 嗚呼「どこにも行かないで」 なんて言えたなら 揺らぐこの感情は どこまでも紅 咲いた息吹を摘んで 最愛のキミの元 息を切らし行く畔の小道 スクリーンが切り取る記憶 どんな匂いだったかも どんな温みだったかも 思い出せない鉄屑のような 血の通わないボクは 何を愛し何を想い 何を大切にしてたんだろう 誰と繋ぎ何処へ向かい 何で離してしまったんだろう 「絶望が手招くような時には 思い出してちょうだい」 歪む悪の花 守る化けの皮 迷いもなく口をつく いたいけなアイロニー 「嗚呼どこにも行かないで」 どの口がほざく 狂わないように忘れたふり 不確かなものを信じて 浅はかだと嘆き嗤い 失くしかけた意識の底 懐かしい声が叫んだ 「思い出してあなたの (日の当たる水面背にして 手招いた美しい影) 心に触れたこの手」 (記憶の片隅の部屋で ふたりは確かに) 咲いた息吹を摘んで 最愛のキミの元 息を切らし行く畔の小道… 最後には枯れた悪の花 剥げた化けの皮 思い出したキミを想い 紡ぎ出したメロディー 「嗚呼どこにも行かないで、 そばにいれたなら…」 不確かな感情は どごまでも紅 いつまでも消えない愛憎