家賃 光熱費 水道代 携帯代 もう崖っぷち なんて言うと オレより年配の無職の方に 申し訳ないけど 俯いて自信なくつぶやいた 27才の夜から 10年 勇気が欲しい 安定に 漬けた片足を洗う覚悟の 毎回限界を超えて 来る満員電車に さえ勇気付けられ 邪魔だったはずの プライドが輝いた 27才までに見ていた夢は 全て叶った 生意気な年下の上司は オレのファンになった 完全燃焼を避けては 通れない道 燃え尽きた後に 仕掛けた勝負事 引きづった様な 不格好な足跡で 誰よりも早くアルバムが 20枚目に到達する みんなオレの事はこう言う 「飽きれるほどに諦めが悪い」 帯裏に描いた 「もう少し先が見たい」 何かを犠牲にしたから もう 引き下がれないんじゃなくて 19才の頃から 引き下がる気がないんですよ 東北に降り積もる雪の様 真っ白でもいいから積み重ね 春が来ても溶けずに残る様 居場所をいつも求め続けて 二度と向き合いたくない 履歴書 証明写真を撮る前に 証明したい あの日オレを不採用にした 面接官 のお蔭で 自分を 信じ続ける事が出来た 今は「ありがとう」 を言いたい 見て来た 下げた頭の先の地面 秋の木の葉の様、 落ちて行くだけの 言葉じゃない これは即興じゃなく 毎日自分に 言い聞かせた言葉 BGMになれない音楽には 二通りある 聞くに堪えない か 耳奪われる でも、どちらでもなく どちらでもある これは生活音に似た 日々止まらず流れるBGM 隣の芝はいつまでたっても 青い お蔭でこっちも 枯れずにいられた 耳にこびりついて離れない あの日、安産祈願の ダルマに両目を描いてくれた じいちゃんの 老眼鏡越しの両目が オレの名前を探している 有難い これが最後の 恩返しになる いつまで経ってもここで あがけ 東北に降り積もる雪の様 真っ白でもいいから 積み重ね 春が来ても溶けずに残る様 居場所をいつも求め続けて 二度と向き合いたくない 履歴書 証明写真を撮る前に 証明したい あの日オレを 不採用にした面接官 のお蔭で 自分を信じ続ける事が出来た 今は「ありがとう」 を言いたい 「夢は叶う」 なんて言葉 嫌いだったけど 生まれ故郷で 凱旋ライブをした時に 顔上げたら すげぇ広いステージに オレ立っててさ 家族が見守ってくれてて 家族だけじゃないよ 結婚式かってくらい 古い友人が集まってくれた あの日ばかりは 「夢は叶う」 と 思った だって 20年前、高校の帰り道で 毎日うつむいて歩いていた 自分の 憧れた姿になる事が出来た 10年前、面接会場から 落ち込みうつむいて 歩いていた自分の 憧れた姿になる事が出来た これ以上の人生なんて 有り得ない 生きる事は、 自分と向き合い 付き合っていくこと 東北に降り積もる雪の様 真っ白でもいいから積み重ね 春が来ても溶けずに残る様 居場所をいつも求め続けて 二度と向き合いたくない 履歴書 今度こそは 証明写真を撮る前に 証明したい あの日オレを 不採用にした面接官達 のお蔭で自分を 信じ続ける事が出来た さすが面接官だけあって 人を見る目があった しかも、 10年も先の未来まで 見据えての 不採用 振り返ると 「君の居場所は ここじゃないよ」 と背中を押してくれた様 これが あの時 あんたらが不採用にした ラッパーの10年後 今日 くらいは 顔上げ 「ありがとう」を言いたい