雨にまぎれてこそこそ歩く 一日中 傘をさして 歩道橋から電車をみつめて きえちゃえばいいのにって 寝たふりをしてこそこそ過ごす 一日中 傘をさして 水槽の泳ぐ金魚をみつめて いなくなればいいのにって ほんとうのことを きみは言わない ぼくは言えない 飲み込む言葉が 世界をこわしてゆく 無害そうな顔して ぼくは傘をさした 悪口だらけの作文は 読み上げることはできない 読み上げることはできない ほんとうのことを きみは知らない ぼくも知らない 吐き出す言葉に なまぬるい雨が降る 無害そうな顔して ぼくは傘をさした 悪口だらけの作文を ちいさな声で読み上げる だれにも聞こえないように 雨にまぎれてこそこそ歩く 雨にまぎれてこそこそ歩く 一日中 傘をさして