往来 往来 何度も通り過ぎ ゆき かえり またゆき 過ぎてわたしたち 酔いどれのハンドル捌きで口の端 いっぱいに白濁のつばきを飛ばし ヒズんだパースペクチヴ 、 立ち尽くし 足(ちゅうぶらり) 街 鉤爪は あまりに冷たい金属だった 鳥が鳥として機械していること 風を 丁寧に切り分け分配するその手管を 疑わずにはいられまい 詐欺師の顔つきを あの 意地悪な季節の 渇ききったくちばしを ついばまれる肌の、 指先のかいた赤い汗水を 持ち去られてはいけない すっかりおびえきった帰還者たちよ 老人の声で また首を折り(隔離)枯れ 花の表情をもって 手 せめて 踏みにじられる ことのないように そこにいておくれ、つぶやくように 運ばれてはいけない 街人たちへ うつむいた頬がさらわれぬよう すり減らぬようにあれ 抱きしめた祈りがなんであれ ここで 残されるものがなんであれ