あなたが愛してくれたという 誰も証明できない 思い出を弔うわ 廓でわっち梅の花 でありんす 見初めてより いとかうしも見えじと キセルの煙にことなしぶ ちはやぶるにはならまほしからず さながら有明の月 思ひ絶えなむと 言ふよしもがな 玉の緒よ、え忍ばざれば 絶えねと思へども、 あふ事もあらんと結び結び、 結ばれず 「わだつ海の、礒もとどろに、 寄する波 我は恋わたり、君に逢わむ、 年は経ぬとも」 わたつ海は未だ見ざれど この身学びき波のよう 世の外の思ひ出に ひとたびの逢ふもがな されどわっちは梅の花 そしてあがり花 名残などありんせん