ぬるくなった缶ジュース 口に含んで飲み干した 古くなったスーツケース さぁもうそろそろ行かなくちゃ 夕日が溶けていく 湖山池 今日の砂時計は あと少しでもう終わる 「ここにはなにもない」 そう言って離れたくせに またわたしここで息をしている この場所にだけあるなにかを たしかに吸い込んで また歩き出す この場所から 空になった缶ジュース 掠れた声で風が歌ってる 歩いてきたこの道を 辿っていつもの出発ロビーまで スーツケースが新しいころは 違う夕日 ここから見てた やり残したことがまだある 今日よりもっと向こうに 風は明日へと水面を走っていく 「ここにはなにもない」 そう言って離れた先で もしわたしどこか一部欠けても この場所にだけあるなにかで たしかに誰でもないわたしにもどる 「ここにはなにもない」 そう言って離れたくせに またわたしここで息をしている この場所にしかないなにかを たしかに吸い込んで また歌い出す この場所から 最終便に乗り込んで 離れていったわたしの街を 窓から見てこぼれ落ちた 言葉と声でこの歌がある