春が過ぎた空は灰色に覆われ 降り出す雨は憂いた 記憶まで連れてくる 濡れて冷たい足元の赤いスニーカー 平気ですか、と 指さすあなたの姿が浮かぶ ただそばにいるだけで 心の色彩が少し濃くなる気がして 思いがけず目覚めた 恋が息をしていた 言わなかった 口の中あふれる甘い水 のみこむたび喉の奥焼けて 痛んだ 今でもまだひそかにヒリついて 身体は時に流されここにいるけど 心はずっとあの日々をさまよってる ちっぽけな胸を濡らす青い雨は まだ降りやまない ふいにひらいて差し出された青い傘 晴れた空よりも澄んだ青が 目の前にあった あなたは素直なひとだ 傘の下にふたり肩ならべても その瞳の真んなかに 私が映ることはなかった 春が過ぎた空の灰色が泣いてる 言えなかった 口の中あふれる甘い水 のみこむたび喉の奥焼けて 痛んだ あなたのものになってみたかった たった一度 でいいからその瞳のなかで “特別なひと”として 触れ合いたかった ちっぽけな胸を濡らす 青い雨はまだ降りやまない それでも季節がめぐるように 憂鬱な心をあたためる青空が ちっぽけな胸を照らし いつの日かそっと 輝くかな