びっくりする程ちっぽけな カバン一つで5月の雨の日 僕は 東京の 街におりた 心細くはなかったよ 少し年上のルームメイトと その彼女と 僕で暮らしていたから まだ彼女がいない頃は まよなかに大きなボリュームで Doobleの ライブをよく聞いたね そして彼女が やってきて まるで二人両親のように 夜遅い 僕を待っていたっけ 彼女はデザイナーをめざし 彼は心優しいエンジニア そして僕は誰かのために歌い 生きていくことを決めた 僕もあれから ニ回目の引っ越しをして 何だかんだとつらいことも たくさんあるけれど そんな自分を一番助けてくれるのは あの 三人で過ごした 楽しい 思い出なんだ 一年と少し経ったあと 新しいいそうろうが来たと 言われて少し淋しくなったけど そいつは大きな耳と目と 長いヒゲのかわいいトラネコ ほっとした僕に彼が言った 「あの家売りに出してたんだ もうすぐ買いてがきまるらしい だから近いうちに遊びにおいで」 少し胸が苦しい さよなら僕の 一番はじめの東京 三人分の思い出を つめた宝箱 僕ら変わらないよ ビアガーデンにいく約束も まだはたしてないから どうか 安心しておいて